今年25周年を迎えた手巻き式クロノグラフの傑作「ダトグラフ」のアニバーサリーモデル。永久カレンダーやトゥールビヨンを組み込むだけでなく、ハーフスケルトンダイヤルの向こう側で、夜光塗料を塗布した機構がグリーンに光るという“ルーメン”仕様に。複雑なメカニズムを楽しみつつ、美しい表現も堪能できる稀有な時計だ。
2024.06.28
文字盤カラー、ケース素材、サイズなど、ますます多様化が進む腕時計。
驚くような機能を搭載した新作は少ないが、
しっかりと地に足がついた良作が多いのが今年の特徴だ。
話題の注目モデルを通じて、各ブランドの哲学と実力をしっかりと見極めよう。
A. LANGE & SÖHNE
A.ランゲ&ゾーネ
今年25周年を迎えた手巻き式クロノグラフの傑作「ダトグラフ」のアニバーサリーモデル。永久カレンダーやトゥールビヨンを組み込むだけでなく、ハーフスケルトンダイヤルの向こう側で、夜光塗料を塗布した機構がグリーンに光るという“ルーメン”仕様に。複雑なメカニズムを楽しみつつ、美しい表現も堪能できる稀有な時計だ。
ANGELUS
アンジェラス
アンジェラスは、これまではメカニズムの構造美を強く押し出してきたが、今年は一転してクラシックに。一見するとシンプルな中3針モデルだが、ダイヤル外周部にはタキメーターが。実はモノプッシャー式クロノグラフになっており、リューズ上のボタンを押すとセンターの秒針が動き出し、短時間の時刻計測を行える仕組みだ。
AUDEMARS PIGUET
オーデマ ピゲ
ケースの立体造形が美しい人気モデルに、昨年から38㎜の小径モデルが追加。今年はそのエクステンションとして新色が追加された。ピンクゴールドと相性の良いブルーのダイヤルは、「ナイトブルー、クラウド50」と呼ばれるオーデマ ピゲの定番色。ケースの厚みは9.6㎜と控えめなので、スーツスタイルとも好相性だ。
BAUME & MERCIER
ボーム&メルシエ
南仏リビエラ海岸の優雅なライフスタイルを投影し、1973年にスタートした「リビエラ」。新作のセミスケルトンモデルは、幾何学的なダイヤルデザインでリビエラの邸宅の建築的構造美を表現しており、独自の世界観を生み出した。100mの防水性能を持ち、ストラップはラバーなので、アクティブな休日にも似合う。
BELL & ROSS
ベル&ロス
都会的なスタイリングで人気を博す「BR 05」に、セラミックモデルが登場。すべてをブラックで統一した世界だが、パーツの表面をヘアラインとポリッシュで仕上げ分けることで反射の違いを作り、立体感を演出している。ステンレススチールよりも軽い素材なので、着用感も申し分ない。オン・オフ問わず使える1本だろう。
BLANCPAIN
ブランパン
モダンダイバーズウォッチの原点といわれる「フィフティ ファゾムス」は、昨年誕生70周年を迎えた。その傑作ダイバーズウォッチからの新作は、昨年のアニバーサリーモデルで好評を博した、やや小ぶりな42.3㎜モデルをチタンケースとレッドゴールドケースの2素材でそれぞれレギュラー化。ダイヤルカラーもブルーとブラックの2種を用意している。
BREGUET
ブレゲ
1950年代にフランス空軍のためにパイロットウォッチ「タイプ20」を製作していたブレゲ。その後に誕生した民生用モデルのデザインを継承するのが、この「タイプ XX」だ。昨年登場して大きな話題となったが、今年はメタルブレスレット仕様が追加された。レトロモダンなデザインとの相性も良く、日本の暑い夏でも使いやすい。
BREITLING
ブライトリング
1952年にパイロット用のクロノグラフとして誕生した「ナビタイマー」。そのシリーズに加わった最新作は、アイコニックな航空用回転計算尺は残しつつ、あえて3針のシンプルな機構を採用することで、洗練されたスタイルに。カレンダーがなく、ベゼルも薄型でドレッシー。ケース厚も11.6㎜しかないので、ビジネスウォッチとしての実力は十分だ。
BULOVA
ブローバ
1971年に行われたアポロ15号の月着陸ミッションにて、デイヴィッド・スコット船長が着用していたのは、ブローバ製の「クロノグラフ」だった。その伝説のモデルを復刻し、ムーブメントには自社製の高精度クオーツを採用。さらにダイヤルの素材には北欧で発見された隕石を薄くカットして使用するなど、細部まで語れる時計に仕上がった。
BVLGARI
ブルガリ
1977年に誕生した「ブルガリ・ブルガリ」は、ラウンドケースに、ダブルロゴを配したベゼルを合わせた革新的なデザインを採用。これは古代ギリシャのコインからインスピレーションを受けたという。誕生から50年近く変わらぬスタイルを継承するが、今年は初代と同じイエローゴールドケースを用い、タイムレスな魅力を強めた。
CARL F. BUCHERER
カール F. ブヘラ
1950年代モデルのデザインを継承する2つ目クロノグラフは、3月1日のみ修正するだけで1年を通じて使える年次カレンダーを搭載し高い人気を誇る。その新作は日本とスイスの国交樹立160周年を記念したモデルで、ブランドの創業地であるルツェルン州のシンボルカラーを取り入れている。ブラックのレザーストラップも付属する。
CARTIER
カルティエ
1912年にオリジナルモデルが生まれた「トーチュ」。亀の甲羅を意味する優美なフォルムは、カルティエの美学の表れとして人気を博した。その後も何度か復活を果たしたが、都度高い評価を得てきた。今年は限定モデルとして“待望”の登場。2針モデルはシンプルな機構ながら、グラマラスなフォルムが特別な存在感を生み出している。
CASIO
カシオ
初代「5000」の8角形のケースデザインを再解釈し、新たな定番として注目を集める「2100」シリーズ。その最新作が、最高峰コレクションである「MR-G」から登場した。フルメタルのケース&ブレスレットを備えたアナログモデルで、ダイヤルには格子細工を思わせるデザインを凝らした。まさに大人が楽しむリッチな「G-SHOCK」だ。
CHANEL
シャネル
シャネルの今年のテーマは「クチュール」。表現を凝らしたモデルが多数登場したが、こちらはオートマタ(からくり仕掛け)。8時位置のボタンを押すと、アトリエ内のマドモアゼルが体を動かし、トルソーが上下に動く。シャネルらしくエレガンスと可愛さが同居する1本だ。ムーブメントはデザインも美しい自社製の「Cal.6」を搭載。
CHOPARD
ショパール
実用に即した検査を行うことで、ユーザビリティに優れた高品質な時計を目指す検査基準「カリテ・フルリエ」に準拠したモデルで、ケースにはリサイクル素材を用いたルーセントスティール?を採用。搭載ムーブメントは自社製の「L.U.C 96.09-L」。実力派ウォッチメーカーとして名高いショパールらしい、時代に即したドレスウォッチだ。
CITIZEN
シチズン
自社製の機械式ムーブメントを搭載したスポーティな1本。都会的でソリッドなデザインに加えて20気圧の防水性能を備え、2時位置にはインナーベゼルを回転させるリューズも備える。シースルーバック式ながら、第2種耐磁の性能も備えており実用性は十分。ダイヤルの装飾も凝っており、満足感の高い時計に仕上がった。
CREDOR
クレドール
ジェラルド・ジェンタがデザインした時計が世界的に人気を博す中、クレドールからは1979年誕生の“日本初のラグジュアリースポーツウォッチ”といえるモデルが復刻。名称のロコモティブとは「機関車」と「牽引力となるもの」という2つの意味で、ビスをあしらった6角形のケースが力強い。ブレスレットの駒も6角形にするなど、ディテールまでジェンタらしい1本だ。
CVSTOS
クストス
高級ヨットをイメージした優美なフォルムのケースを、ホワイトセラミックで製作。独特の光沢感でクリーンな美しさを表現する。ムーブメントを支えるブリッジにはヨットのデッキにも用いるチーク材を貼りこみ、6時位置の大きな三又秒針を安定して回転させるために小さな永久磁石を用いるなど、唯一無二の存在感を持つ時計だ。
FRANCK MULLER
フランク ミュラー
4年の歳月をかけて開発された、機械式のデジタル表示モデル。5枚のディスクを駆使し、12時位置が時表示で6時位置が日付表示。そして中央が分表示。ディスクを瞬間的に動かすためのエネルギーマネージメントは、高度な技術を要する。ダイヤルの大きな余白部分にはギヨシェ彫りを施しており、個性的で美しい表情を作る。
FREDERIQUE CONSTANT
フレデリック・コンスタント
アクセシブルな価格ながら凝ったメカニズムを持つ実力派ブランドの新作は、ダイヤルやストラップに用いられたブリティッシュ レーシング グリーンの色気を楽しみたい。自社製ムーブメント「Cal.FC-716」は、大型の香箱を採用して72時間のパワーリザーブを実現。月の満ち欠けを示すロマンティックなモデルだが、実用性でもハイレベルだ。